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ベトナムから日本へ。ブリッジSEとしてふたつの国をつなぐエンジニア

Author: Innotech Vietnam Coporation
Date: 18/08/2020

 

エンジニアの中には、オフショア開発などで海外のエンジニアと一緒に仕事をしたことがあるという人も多いだろう。ますますボーダレスになる開発の世界では、日本で働く外国人エンジニアも増えつつある。今回は株式会社grooo(東京)でブリッジSEとして活躍する、ベトナム人エンジニアヴォ氏にインタビュー。母国から遠く離れた日本で働くことになったきっかけとはなんだったのだろうか。懐かしいゲームタイトルが挙がった、ヴォ氏の学生時代のエピソードに共感する日本人エンジニアも多いのでは?

 

ハノイ工科大学のHEDSPIプログラムを経て、日本で働くITエンジニアに

 

現在、25歳のヴォ氏は、東京・恵比寿に本社がある株式会社groooでITエンジニアとして活躍している。ここでの主な仕事は、ベトナムにあるgrooo Internationalの開発チームと東京とのブリッジ役だ。そのほかにもサーバーエンジニアやシステム設計でヴォ氏自らも開発に携わりながら、常時5つほどのプロジェクトを担当している。

 

ヴォ氏はベトナム中部に位置する、ゲアン省の出身だ。首都にあるハノイ工科大学(ベトナム最初の技術系国立大学)ではICT(Information and Communication Technology)を専攻し、ベトナムと日本が共同で実施するIT 技術者の養成プロジェクト「HEDSPI」に参加した。HEDSPIはハノイ工科大学・日本文部科学省(MEXT)・国際協力機構(JICA)3者の協力で設立され、ベトナムと各先進国(特に日本)の架け橋となるブリッジSEの育成を目標とし、専門知識だけでなく日本語教育にも力を入れたカリキュラムとなっている。HEDSPIの卒業生は、日本と関連があるベトナムのIT企業か、日本のIT企業に勤めるケースが多い。

 

HEDSPIを修了したヴォ氏は、モバイルゲームの開発会社に就職が決まった。2015年2月に来日し、最初の3か月は研修期間でテトリスを作った。その後、モバイルゲームエンジニア、サーバーエンジニアとしてチームに配属となり、様々なゲームタイトルに携わった。こちらにはヴォ氏のような外国人エンジニアが多かったという。現場ではC++、Scalaを使っていた。来日してから2年ほど、こちらの会社で働いた。その後、現在の株式会社groooに移った。

 

兄が自作したPC/AT互換機で、ゲームに夢中になった高校生時代

 

ところでヴォ氏がエンジニアの道を選んだきっかけはなんだったのだろうか。PCとの出会いについて聞いた。

 

「2005年の頃、高校生だった僕は、毎月発売されるゲーム雑誌にはまっていました。付録のCD-ROMから、自分のPCにゲームをインストールして遊ぶのが楽しかったんです。使っていたPCは兄が自作したPC/AT互換機で、OSはWindowsでした。当時、僕の町にあったPCは兄のものを入れて5台。インターネットはまだなかったので、PCにひたすらゲームをインストールして遊んでいました。今と違って情報が少ない時代でしたが、それが却って興味を掻き立てていたと思います」とヴォ氏は当時を笑顔で振り返る。

 

当時ヴォ氏が夢中になったゲームは「ディアブロ」「Red Alert」「FIFA」などだった。「ゲームはみな英語でした。英語がわからないと遊べない、そう思って一所懸命英語の勉強をしていました」と語るヴォ氏。きれいな日本語で話すヴォ氏だが、さらに英語のほうが得意だという。

 

品質に対する意識が異なる日本とベトナム。プロジェクトを成功させるヒントとは?

 

モバイルゲーム開発会社で活躍していたヴォ氏だったが、3年目を迎える前に新しい挑戦を決意。PCの画面だけをみて黙々と開発を進める仕事ではなく、もっと広い世界をみてみたくなった。転職活動を始めたヴォ氏は、大企業を含む様々な企業と面談を重ね、現在の株式会社groooを選んだ。

 

「ここならいろいろなことをやれる、いろいろな場面で自分が役に立てるかもしれないと思いました。仕事が多そうなのも転職を決めた大きな理由です。というのもモバイルゲーム開発会社にいたときは、暇な時間があったんですね。暇でいいじゃないかと思われそうですが、仕事を通して毎日スキルアップしたい僕にとって、暇な時間は本当につらかったんです」と当時を振り返る。

 

現在はブリッジSEとして活躍するヴォ氏に、仕事について聞いた。「日本は開発スピードはゆっくりだけれど、その分きちんと仕上げる。ベトナムは仕上がるのはものすごく早いんですが、あとで問題が発生することが多いんです。ベトナムと日本では品質への意識が違うなと思いました。品質を大切にする日本式の開発を、ベトナム人エンジニアは面倒だと思うこともあると思います。そのためベトナムのエンジニアをマネジメントする際は、時間だけでなく品質の大切さについて説明しています。最近では現地の若いエンジニアを中心に、だんだん日本式への理解が進んできたと感じています」とヴォ氏は語る。国が違えば文化も変わる。「当たり前が違う」ことに対して、お互いにリスペクトすることがプロジェクトを成功させる鍵だとヴォ氏は言う。

 

いつか自分が得意なITの分野で、人を育てる仕事をしたい

 

「毎日自分をアップデートすること」を理念にしているヴォ氏は、毎日寝る前に今日学んだことを振り返る。「仕事でも新しい技術でも、なにか新しく身についたものがあるか、ベッドに入ったときにチェックするんです。なにもなかった日はへこんでしまいます」。日々のアップデートを自分に課しているヴォ氏のいまの目標は、AWS認定の上級取得だ。

 

日本で活躍するヴォ氏だが、将来は母国のベトナムに戻り、IT技術を教える教育事業を立ち上げたいと語る。「まだまだ日本でがんばりたいと思いますが、いまから5~10年くらい経ったら、ベトナムに戻りたいと考えています。もともと人をサポートするのが好きなので、自分が得意なITの分野で人を育てる仕事ができたらいいなと思っています」。

 

プロフィール

 

Võ Phi Hùng(ヴォ・フィ・フン)

ベトナムゲアン省出身。ハノイ工科大学のHEDSPIを卒業後、来日。現在株式会社groooでブリッジSEとして、ベトナムと日本の架け橋となっている。日本の食べ物で好きなものは鮨と刺身。趣味はサッカー、オンラインゲーム、コーディング。

 

ソース:SHIFT

 


 

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